2018年2月19日月曜日

Tr回路の実験 差動増幅回路

OPAMPの入力段によく使われている回路です。Q1とQ2の入力(ベース)の差分を増幅するので、入力と反対側にフィードバックして負帰還をかけることができます。

OPAMP以外にもLadder Filterの電流制御部やVCAの電流制御増幅器として使われることが多く、アナログ・シンセでもとても重要な回路です。

シミュレーション回路図

入力はIN1、IN2の差動入力で50mVp-p、100mVp-p、200mVp-pのサイン波を入力してパラメータ解析しました。

Q3のあたりは定電流源で2mA程度流す設計になっています。Q1、Q2の増幅率は制限せずQ1、Q2のhFEとエミッタ電流によって増幅率が決まります。

入出力

出力を見ると、入力が100mVp-pで歪み始め、200mVp-pだとクリップしています。

Q1、Q2と入出力の対応を見ると、V(in1)(緑)に対しV(out1)(赤)、V(in2)(青)に対しV(out2)(シアン)で、それぞれ出力が反転しています。←基本的にはエミッタ接地増幅回路。

エミッタ電流

-Ie(Q3)(緑色の線)は定電流源のQ3のエミッタ電流(≒コレクタ電流)で1.7mA程度になっています。

-Ie(Q1)(青色の線)、-Ie(Q2)(赤色の線)はそれぞれQ1、Q2のエミッタ電流で中心は0.85mA程度で、-Ie(Q3)を分け合っています。振幅が大きくなると0mAと-I3(Q3)によって電流が制限されるようです。

Trの各端子の電位

V(Ve)はQ1とQ2のエミッタ電位で、GNDからVbe分低い-633mV程度になっています。←ベースがGNDに接地されているため。

Q1のコレクタ電位V(Vc1)、Q2のコレクタ電位V(Vc2)は3.2V程度です。Q1のコレクタ電流が0.85mAだとすると

Vc1 = Vcc - Ic * R3 = 5V - 0.85mA * 2.2kΩ = 3.13V

定電流源をcurrentコンポーネントにしてみる。


シミュレーション回路図

Q3まわりの定電流源をLTSpiceのcurrentコンポーネントI1に置き換えて、入力を50mVp-pに固定、I1の電流値を1mA、1.5mA、2mAにしてパラメータ解析しました。

入出力

エミッタ電流によって増幅率が変わることがわかります。←電流制御増幅器として使える。

入力を片チャンネルのみにする。


シミュレーション回路図

信号源の片側をGNDに接地してQ1片チャンネルのみの入力にしてみました。

入出力

出力は800mVp-p程度になっています。

また、出力波形を見ると正側と負側で振幅が異なっていて、若干歪んでいるように見えます。

両チャンネルに入力した場合の入出力

Q1、Q2両チャンネルに50mVp-pを入力した場合、出力は1.6Vp-p程度なので、Q1片側のみの入力の場合出力振幅は約半分になっています。

こちらは出力の正負の振幅は同じで、歪も無いようにみえます(@@?

出力を片チャンネルだけ使う。


シミュレーション回路図

「定本 トランジスタ回路の設計」によると、出力を片側だけ使う場合、Q2のコレクタ抵抗R4を取り除いてもOKとあるのでシミュレーションしました。

入出力

2018年2月16日金曜日

Arduino LFO Main Board 基板設計

配線の都合上、MCP4922の出力は1chのみとしました。Arduinoのファームウェアでもそこそこのサンプリングレートで2ch分出力するのは難しそうなので(^q^;

また1ch出力なのでLDACも省略し、CSで出力のタイミングを取るようにしました。

参考「Nucleo F446RE(mbed)の内蔵DACとSPI DACのMCP4922の速度を比較する

Arduino Nano(互換品)のUSB端子とMCP4922が干渉するようなので(USBケーブルが差しにくい)、Arduino Nanoは背の高いピン・ソケットを使ってMCP4922と段違いになるようにしました。

回路図

基盤図

部品並べ(Arduino Nanoを挿入したところ)

部品並べ(Arduino Nanoを外したところ)

※C2(0.1uF)挿入し忘れ

Tr回路の実験 負帰還 ロー・ブースト

負帰還に周波数特性を持った回路を入れて、出力の低域を増幅する回路です。

カットオフ周波数を決めるCcを0.001uF、0.01uF、0.1uFにしてパラメータ解析しました。

シミュレーション回路図

入出力

周波数特性

Ccの容量が上がるとカットオフ周波数が下がります。30Hz以下の低域の減衰はACカップリングによるものです。

帰還電流

一番下のペインのI(R10)は帰還電流です。帰還電流は高域になるほど多くなっています。

真ん中のペインのIe(Q1)はQ1のエミッタ電流です。帰還電流によってコントロールされ、逆に高域になるほど電流が小さくなっています。

一番上のペインのI(R5)は帰還電流とQ1のエミッタ電流が合流したものです。

負帰還に入っている回路



負帰還に入っている回路を抜き出しました。この回路によって負帰還の周波数特性が決まります。

周波数特性

低域のカットオフ周波数fc1は

fc1 = 1 / (2 * π * C1 * R1) ≒ 133Hz

高域のカットオフ周波数は

fc2 = (R1 + R2 + R3) / (2 * π * C1 * R1 * (R2 + R3)) ≒ 531Hz

fc2はシミュレーションではもう少し低い周波数(506Hz付近)になっています。

OPAMPに置き換えてみる

非反転増幅回路の負帰還を上記の回路に置き換えて、OPAMPのロー・ブースト回路をシミュレーションしてみました。

シミュレーション回路図


周波数特性

U1の反転端子への入力の周波数特性

OPAMPを使うとディスクリートより回路がずいぶんすっきりします。

両電源を使ってACカップリングを省いているので低域の減衰がありませんが、特性はほとんど同じです。