2018年1月14日日曜日

Tr回路の実験 カスコード回路

カスコード回路は、エミッタ接地回路とベース接地回路を直結したような回路で、ベース接地回路と比較して周波数特性はそのままに入力インピーダンスが高くなるメリットがあります。

シミュレーション回路図

いつものように電源電圧VCCを9Vにしたかったのですが、「定本 トランジスタ回路の設計」にあるように、Q1のCobを大きくしないようにQ2のエミッタの動作点を5V前後に持ってくるのが難しそうだったので、今回は電源電圧VCCを15Vとしました。

信号源はAD9833ファンクションジェネレータ(バイパス出力)を想定して出力インピーダンスRser=270Ωとしました。

本と同じように、コレクタ電流は2mA程度流すこととし、先にQ2のコレクタ抵抗R3を決めてから、Q1のエミッタ抵抗Reを100Ω、150Ω、200Ωとしてパラメータ解析しました。

増幅率Avは Av = R3 / Re で決まるので、それぞれ20倍、15倍、10倍程度になります。

入出力



入力V(in)は1MHz、600mVp-pのサイン波で、出力はRe=200Ωの時(赤色の線)5.4Vp-p程度になっています。

Av = 5.4Vp-p / 600mVp-p = 9

で約9倍の増幅率になりました。

Reが100Ωのとき(緑色の線)のとき、出力波形の上側がクリップしています。

Q1の各端子の電位



Q1のベース電位V(vb1)はR1,R2のバイアス電圧がかかって、約2.5Vを中心に振れています。振幅は600mV程度で入力と比較してほとんど減衰していません。入力インピーダンスが高いためです。

Q1のエミッタ電位V(ve1)は約1.9Vを中心に振れていてベース電位よりベース・エミッタ間電圧分低くなっています。

Q2の各端子の電位



Q2のエミッタ電位V(ve2)は約4.5Vになっていて、ほとんど振幅がありません。出力波形がクリップしている時に多少振幅が現れます。

Q2のベース電位V(vb2)はR5、R6のバイアス回路によるもので、約5Vになっています。

VCC * R5 / (R5 + R6) ≒ 5.38V

なので少し低い値になっています。

Q2のコレクタ電位V(vc2)は約11.5Vを中心に触れています。波形がクリップしているのはVCC(15V)による制約です。

コレクタ抵抗R3に流れる電流

コレクタ電流(=R3に流れる電流I(R3))は、設計通りアイドル時で約2mA流れています。

Re=100Ωのとき(緑色の線)R3による電圧降下が大きすぎて振幅が大きくなると電流が流れなくなります。

周波数特性


R3=200Ω、R7=820ΩとしてAC解析しました。


LTSpiceのカーソルで測定すると-3dBのポイントは28MHz付近になりました。シミュレーションではベース接地よりも周波数特性が良くなった?

低域も入力インピーダンスが高いため、ACカップリング用のC1が10uFでもあまり減衰していません。

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