2018年2月11日日曜日

Tr回路の実験 負帰還

Trの負帰還回路です。「続・トランジスタ回路の設計」で出てくる電流帰還型オペアンプとは異なりますが、これも電流帰還です。

負帰還とは出力の「あるべき姿」を実現するために、出力を測定して、「あるべき姿」と違っていたら入力にマイナス要因を加えてやって出力を補正するしくみです。

Tr(ディスクリート)の負帰還は結構難しいので、OPAMPで慣れてから手を付けたほうがいいと思います。

シミュレーション回路図


入力は50mVp-pのサイン波にしました。増幅率はR4/R9で決まるので、R4の値を4.7k、10k、33kでパラメータ解析しました。概算では、増幅率はそれぞれ47、100、330になります。

入出力


出力V(out)は、4.7kΩの時2.4Vp-p程度、10kΩのとき4.8Vp-p程度でまずまず概算どおりです。33kΩのときは+6V、-4.2V程度でクリップしました。

Q1のエミッタ、コレクタの電位


下側のペインのQ1のエミッタ電位V(ve1)の中心は1.95V程度で、振幅は50mVp-p程度です。

上側のペインのQ1のコレクタ電位V(vc1)は9.90V程度で、出力がクリップするR4=33kΩ(赤色の線)のとき以外は、振幅は50mVp-p以下になっています。Q1のエミッタ接地回路はC2で接地されているので増幅率は R3 / R9 = 56 程度になるはずですが、Q2のコレクタ出力からVe1に負帰還をかけているので振幅がとても小さくなっています。

帰還電流


上側のペインの-Ie(Q1)がQ1のエミッタから流れ出す電流で、I(R4)がQ2のコレクタからの帰還電流です。

-Ie(Q1)の中心は0.95mA程度で振幅は殆どありません。アイドル時に約0.95mA流れていて信号による変化は少ないということです。

逆にI(R4)はDC成分がなく、振幅は0.5mAp-p程度と比較的大きくなっています。

下側のペインのI(R9)は-Ie(Q1)とI(R4)が合流したもので、アイドル時に約0.95mA流れて、約0.5mAp-pの振幅で変化しています。

入力電圧

入力が50mVp-pと小さく、実験しにくそうなのでR4=1kΩ(Av=10)にして、入力電圧を100mVp-p、200mVp-p、500mVp-pにしてパラメータ解析してみました。


入力電圧が500mVp-pで出力がクリップしてしまいました。この回路の場合、増幅率を小さく設定しても入力はかなり小さい振幅でないと出力がクリップしてしまうようです。

AC解析


-3dBのポイントは、Rf=4.7kΩ(緑色の線)のとき4.9MHz付近、Rf=10kΩ(青色の線)のとき、2.4MHz付近になっています。(Rf=33kΩは出力がクリップするので除外)

増幅率を上げると周波数特性が悪化するのは、OPAMPを使った増幅回路と似ていますね。

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